「いたずら心」は時に重要だと思う。子ども達を毎日ワクワクさせたい。こんな事を考えながら、ふとある「いたずら?!」を思いついた。それは送迎車に、子ども達と一緒にペンキで色を塗ってしまおうという企画である。
この企画を子ども達に話した時、みんな最初は半信半疑。「車にいたずらしちゃいけないんだよ!」と超正論を言ってくる子もいた(ダメといわれてもやっちゃう子が多いはずなのに…)。
まさか本当にやるわけないだろうと思っている子は冗談半分で「真っ赤にしよう!」なんて笑っている。
小学生チームがネットでやり方を調べる。窓ガラスにつかないようにビニールを貼るとか、ナンバープレートは絶対塗らないなど注意点もわかってきた(「いたずら」するにも最低限のルールは学ばないと)。
調べるうちにだんだんイメージが膨らみ現実味が出てきた。「本当に車に色を塗るんだ。運転手のおじいちゃんたちきっとビックリするよね!」子ども達の気持ちにもう迷いはなくなっている。
あるのは、いたずらをして大人を驚かせてやる!というドキドキとワクワクだけだ。
いよいよペイント当日。
「塗ってはいけないところ」にビニールを貼るという地味な工程からスタート。普段だったらそんな地味な作業は「やろう!」と声を掛けても子ども達は絶対にやらない。強制したところで反発するだけだ。しかし、今日は違った。みんな「先生、僕まず何をやればいい?」と積極的に「仕事」を探し、行動している。なにせ、その先に「車にペンキで色を塗る」という非日常の超絶ワクワク体験が待っているのだから。
大人にとっても非日常。子どもの頃にプラモデルを作って色を塗った時のことを思い出した。自分がこだわりぬいて作ったガンダムのプラモデルに色を付けた時は本当に楽しかったな。
「先生、次は僕にぬらせてよ」
「だめだめ。ここを塗るのは難しいんだから。」
「先生ばっかりやってずるいよ」
はっと我に返った。あまりに楽しすぎて、熱中しすぎて、大人がやりたい気持ちを走らせすぎた。上手く塗れるかなんてどうでもいいことだ。大切なのは子ども達がワクワクすること。慌てて子どもに刷毛を渡す。
子どもが楽しそうに、誇らしそうに作業をすすめていく。ペンキで手形をつける。虹を描く。
感情のふり幅を大きくすることで心の強さを育てる。だから、楽しいことは目一杯!
子どもが本当に興味を持つのは与えられたゲームでもアニメでもない。大人が心から楽しんでいること。「人生を本気で楽しんでいる大人」の姿を子ども達に見せることが何よりも大切なことだ。